デジタル一眼レフを買ったからには長時間露光で花火や車のライトの軌跡を撮ったり、夜景をとってみたり、満点の星空を撮ってみたり、滝の流れをとめてみたり… 様々なシチュエーションでいろんな被写体を撮影してみたい。これらのシチュエーションで撮影するときにあると便利なのが三脚。
今日は写真撮影時における三脚の必要性と選び方についてお話します。
どんな時に三脚を使う必要があるの?
暗い場所やシャッタースピードを落としての撮影は、手持ち撮影ではどうしても限界があります。私のように毎回息を止めながら撮影するのもなかなか苦しいものです。三脚を使わずに手ブレを防ぐ方法は、カメラを正しく構える、レンズやカメラについている手ブレ補正機能をONにする、F値を小さくしたりISOを上げることでシャッタースピードをかせぐことなどがあります。
しかし、F値を小さくすると被写界深度が浅くなり、ピントの合う範囲が狭くなります。ボケのある写真は魅力的ですが、風景や夜景を撮るときははっきりくっきりした写真の方が一般的には好まれると思います。
そんな時の助けとなってくれるのが三脚です。
①手ブレを防ぎたいとき
夜景など暗い場所での撮影やシャッタースピードをおとしての撮影では、どうしても手ブレが起こりやすくなります。三脚を使用してしっかりとカメラを固定して撮影する必要があります。
②望遠レンズで撮影したいとき
ここ最近のレンズやカメラは一昔前のものと比べると手ブレ補正機能はかなり優秀。でも、長い望遠レンズ使用時は構えているだけで手がぷるぷるして疲れますし、どうしても手ブレがおきてしまいやすいです。
普通のレンズ使用時においても、構図を決めてシャッターチャンスを待つ場面なんかだと三脚があると便利だと思います。
③インターバル撮影したいとき
今流行りのタイムラプス、微速度撮影ともいうそうです。同じアングルで長時間撮影し続けるので、三脚が必要です。
三脚は何を基準に選べばいいの?
三脚があると便利なのは分かりました。では、どうやって選べばよいのか?安いものは数千円から高いものだと数万円もします。数万円もする三脚があるなんて私は知りませんでした。余裕があれば「いっちゃんええやつ」を買いたいところですが、そんなわけにはいきません。
三脚選びを指南するサイトでは「安物買いの銭失いにならないように選ぶべき」と書かれていることも多いですが、場合によっては安物でも十分なことも考えられます。人がなんと言おうと、自分で考えて選んだ三脚はきっと良き相棒となるはず。そのために考えたいことは大きく以下の3つ。
①使用するカメラとレンズの総重量は何kgか
その三脚が支えられる重さはどれくらいまでか耐荷重をチェック。 三脚がカメラやレンズをしっかり支えられなければ、不安定でグラグラ、最悪の場合倒れてしまいカメラやレンズが…なんてことも。これを考えるとどのクラスの三脚を買うべきなのかがかなり絞られます。
フルサイズと入門機ではカメラ本体の重さが異なります。またレンズも単焦点や超望遠のものでは重さが異なります。耐荷重の理想としては、使用するカメラ+レンズの総重量の2倍~3倍は欲しいところです。最低でも0.5~1kgプラスを目安にしましょう。
②撮影する場所はどこか
子どもの運動会などのイベントで、自宅で、山登りで、旅行で…どこで撮影したいのか。また、その場所までどのように移動するのか。三脚は重いほど安定性が増しますが、重い三脚を持って移動するのはなかなか大変です。三脚の重量と折りたたんだ時の長さ(格納高)をチェックしましょう。
軽くて丈夫なカーボン製は間違いないですが、価格を考慮するとアルミ製を選択することになります。
携帯性を重視しなくても大丈夫なら、大きい三脚の方が安定するし使えるシーンが多いです。
③撮りたいものはなにか
しっかりゆっくりと構図を決めて確実に水平を保って風景を撮りたい。ささっとセッティングして臨機応変に撮りたい。なめらかにカメラの向きを変えて手ブレの少ない動画を撮りたい。
このように何を撮りたいのかを考えることで、3WAY雲台か自由雲台がいいか選びます。特にこだわりがなければ自由雲台の方がコンパクトだし、ちゃちゃっと使えます。
また、撮りたいものに合わせて、三脚の最低高(一番低い位置)と全高(一番高い位置)を選びしょう。花などをマクロ撮影したいなら最低高は十数cmがいいです。夜景などであれば全高は自分の目の高さくらいあるといいです。ちなみにEV(エレベーター)を使うと安定性に欠けることもあるので、理想としてはEVなしでの高さを見ておきましょう。
こんな三脚をおすすめします
私が欲しいと思う三脚は、それなりに価格が安くて、それなりに軽くて、それなりにしっかりしているもの。こんなゆるーい感じですが、カメラ初心者ってこんな感じではないでしょうか。それでも後悔はしたくないですよね。
贅沢を言えばもちろん価格は高くなっていきます。基本的には価格と性能のバランス。それを重視します。
それでは、メーカー別におすすめしていきます。デジタル一眼レフはもちろんミラーレス、コンパクトデジカメにも使えます。
SLIK(スリック)
有名な日本の三脚メーカー。商品ラインナップは豊富で価格が手ごろ。
■ フラット 225
格納高46cm、最低高21cm~全高123cm(EVなし)、重量1.3kg、耐荷重2kgまで。
自由雲台(取り外し可能)、クイックシュー・水準器つき。
最大の特徴は、折り畳み時に3本の足がフラットになること。カバンに入れてもかさばりにくい設計になっています。脚の段数は5段なので、最高まで伸ばす使い方だと安定性にかけるかも。
■ スプリント PRO II 3WAY
格納高47cm、最低高17.7~全高162.2cm(EVあり)、重量1.1kg、耐荷重2kgまで。
3WAY雲台(取り外し可能)、クイックシュー・水準器つき。
脚は4段。コンパクトながらローアングルからそれなりの高さまで幅広く使えます。
■ スプリント PRO II
格納高47cm、最低高17cm~全高161.5cm(EVあり)、重量939g、耐荷重2kgまで。
自由雲台(取り外し可能)、クイックシューつき、水準器なし。
脚は4段。生産完了品ですが人気の商品。Amazonなんかだとまだ在庫がありそうです。
Velbon(ベルボン)
SLIKと並んで有名な日本のメーカー。商品ラインナップが豊富すぎて迷います。
■ ウルトラロックシリーズ
収納高42.5cm、最低高21cm~全高162cm(EVあり)、重量1.4kg、耐荷重2kgまで。
3WAY雲台(取り外し可能)、クイックシュー・水準器つき。
最大の特徴はベルボン独自のウルトラロック。スムーズにちゃちゃっと三脚がセッティングできちゃいます。脚は5段。ローアングルから幅広く使えます。
555は455より全てが少しずつ大きくなります。耐荷重が2.5kgまでに増えるので、余裕を持ちたい場合は555もしくは655がおすすめです。ちなみに自由雲台のキットも選べます。
■ Sherpaシリーズ
収納高48cm、最低高22.1cm~全高154cm(EVあり)、重量1.5kg、耐荷重2kgまで。
3WAY雲台(取り外し可能)、クイックシュー・水準器つき。
脚径(脚の太さ)と脚の段数の組み合わせで6つのラインナップから選べます。Amazonで買う場合は脚径と段数による価格差が比較しやすいと思います。脚径が太くなるほどサイズが大きくなりますが、耐荷重にも余裕が出ます。段数は4段が3段に比べてコンパクトになります。3段の方が最高まで伸ばした場合に安定性が出ます。645ならあまり気にしなくていいと思います。
ローアングルから使えて、カラーバリエーションも豊富なシリーズです。
manfrotto(マンフロット)
デザイン性からも人気が高いイタリアのメーカーです。
※クイックシューはクイックリリースと表記されています。
■ COMPACT アクション フォト・ムービーキット
格納高45.3cm、最低高45.3cm~全高155cm(EVあり)、重量1.16kg、耐荷重1.5kg。
ジョイスティック型雲台(取り外し不可)、クイックシューつき、水準器なし。
最大の特徴はジョイスティック型ハンドルの雲台。直観的な操作ができます。ワンタッチで雲台のモードを切り替えると、ムービーにも適したなめらかな動きになります。ブラック・レッド・ホワイトのカラーバリエーションがあります。5段脚のため全高まで使うと安定性にやや不安があります。ロゴの入った収納ケースが付属します。
■ COMPACT Advanced 3Wayフォトキット
格納高44cm、最低高44.5cm~全高165cm(EVあり)、重量1.42kg、耐荷重3kg。
3WAY雲台(取り外し不可能)、クイックシューつき、水準器なし。
自由雲台バージョンもあります。このレベルのつくりとデザインが1万円以内で買えるというのが驚きの製品。見た目だけで選んでも間違いないです。こちらも脚は5段で、ロゴ入りの収納ケース付属です。
■ Befree アルミ 4段 ボール雲台キット
格納高40cm、最低高34cm~全高144cm(EVあり)、重量1.4kg、耐荷重4kg
自由雲台(取り外し可能)、クイックシューつき、水準器なし。
脚は4段です。携帯性と丈夫さを兼ね備えた非常にバランスの良い製品。付属の収納ケースはCOMPACTシリーズよりかっこいいと思います。
NEWデザインは4色のカラーバリエーションです。
値段が高い三脚はやっぱりいいです。でも思った以上に高額。自分がどんなカメラやレンズを使用して、どこで何を撮りたいのかを考えると譲れないポイントが出てきます。そうすることで様々な条件のバランスがとれた三脚選びができると思います。
はじめての三脚選びはマンフロットのBefreeに軍配が上がりそうな予感です。
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